相場の動き
上がったのはマンションだけ|全国20年分のデータが示すこと
「不動産価格の高騰」と言われますが、全国の成約価格を種別ごとに集計すると、上がったのは中古マンションだけです。一戸建てと土地はほぼ横ばいでした。
公開 2026-08-27
不動産価格が上がっている、という話をよく聞きます。実際に国土交通省の成約価格データを全国分・種別ごとに集計すると、その言い方は正確ではありませんでした。
上がったのは中古マンションだけです。
全国の㎡単価中央値の推移
| 年 | 中古マンション | 一戸建て | 土地 |
|---|---|---|---|
| 2008 | 30.0万円/㎡ | 14.8万円/㎡ | 4.4万円/㎡ |
| 2010 | 31.1万円/㎡ | 13.9万円/㎡ | 4.4万円/㎡ |
| 2012 | 29.2万円/㎡ | 13.3万円/㎡ | 3.9万円/㎡ |
| 2014 | 31.8万円/㎡ | 13.0万円/㎡ | 3.6万円/㎡ |
| 2016 | 36.5万円/㎡ | 13.3万円/㎡ | 3.7万円/㎡ |
| 2018 | 38.7万円/㎡ | 13.3万円/㎡ | 3.6万円/㎡ |
| 2020 | 42.2万円/㎡ | 14.0万円/㎡ | 3.7万円/㎡ |
| 2022 | 48.0万円/㎡ | 13.0万円/㎡ | 3.9万円/㎡ |
| 2024 | 53.3万円/㎡ | 13.0万円/㎡ | 4.3万円/㎡ |
| 2025 | 56.0万円/㎡ | 12.9万円/㎡ | 4.6万円/㎡ |
2010年から2025年までの15年間で見ると、こうなります。
- 中古マンション +80%
- 一戸建て −7%
- 土地 +5%
マンションは1.8倍になり、一戸建てはむしろ下がり、土地はほぼ変わっていません。
面積構成は変わっていない
「㎡単価は面積構成が変わるだけで動く」という話を別の記事で書きました。今回の数字がその影響を受けていないか、取引された物件の中央値面積も確認しています。
| 年 | マンション | 一戸建て | 土地 |
|---|---|---|---|
| 2010 | 65㎡ | 165㎡ | 220㎡ |
| 2015 | 65㎡ | 170㎡ | 240㎡ |
| 2020 | 60㎡ | 165㎡ | 230㎡ |
| 2025 | 60㎡ | 180㎡ | 230㎡ |
どれも大きくは動いていません。 マンションが65㎡から60㎡へやや小さくなっている点は、その分だけ㎡単価を押し上げる方向に働きます。ただしこの程度の変化で+80%は説明できません。
なお、一戸建ての㎡単価は「建物込みの取引価格 ÷ 土地面積」で計算しています。土地だけの単価ではない点にご注意ください。詳しくはデータの出典と作成方法に書いています。
なぜマンションだけなのか
3つの要因が考えられます。
建築費と人件費の上昇。 新築マンションの価格が上がれば、その代替として中古マンションの需要が増えます。一戸建ても建築費の影響を受けますが、価格に占める土地の割合が高いため、影響が薄まります。
立地の集中。 マンションは駅前や都心に集中して供給されます。人口が都市部に集まる流れの中で、需要も価格も立地の良い場所に集中します。一戸建てと土地は郊外にも広く分布するため、全国平均は郊外の弱さに引っ張られます。
投資対象としての性格。 賃貸に回せるコンパクトなマンションは、住むためだけでなく運用対象としても買われます。金利が低い期間が長く続いたことも、この需要を支えました。一戸建てにはこの需要がほとんどありません。
三大都市圏とそれ以外
マンションの上昇が都市部だけの現象かどうかも確かめました。東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・大阪・京都・兵庫を三大都市圏として分けています。
| 年 | 三大都市圏 | それ以外 |
|---|---|---|
| 2010 | 36.4万円/㎡ | 17.3万円/㎡ |
| 2015 | 40.0万円/㎡ | 20.0万円/㎡ |
| 2020 | 50.0万円/㎡ | 23.8万円/㎡ |
| 2025 | 66.7万円/㎡ | 28.9万円/㎡ |
2010年からの上昇率は、三大都市圏が**+83%、それ以外が+67%**です。
差はありますが、それ以外の地域でも67%上がっています。 マンションの上昇は都市部だけの現象ではありません。
この結果をどう使うか
「不動産が上がっている」を自分の物件に当てはめないでください。 一戸建てや土地を持っている場合、全国の平均像はほぼ横ばいです。
種別ごとに見てください。 当サイトでは市区町村ページを中古マンション・一戸建て・土地に分けています。同じ地域でも動きが違うことがあります。
そして地域ごとに見てください。 全国の中央値はあくまで全国の話です。人が集まっている地域の一戸建ては上がっていますし、人口が減っている地域のマンションは下がっています。
まとめ
- 2010→2025年で、中古マンション+80%、一戸建て−7%、土地+5%
- 取引された物件の面積構成はほぼ変わっていないので、構成効果ではない
- マンションの上昇は三大都市圏(+83%)だけでなく、それ以外(+67%)でも起きている
- 「不動産価格の高騰」は、実態としては「マンション価格の上昇」
地域ごとの数字は市区町村ランキングや各都道府県のページから確認できます。