基礎知識
用途地域とは|13種類の区分が土地の値段を分ける仕組み
同じ駅の同じ距離でも、用途地域が違えば土地の値段は変わります。13種類の区分が何を決めているのか、価格にどう効くのかを説明します。
公開 2026-08-26
同じ駅から徒歩10分、同じ広さの土地なのに、値段が2倍違う。よくあります。理由のひとつが用途地域です。
用途地域は「そこに何を建てられるか」を決めている
都市計画法にもとづいて、市街地は13種類の区分に分けられています。区分ごとに、建てられる建物の種類、大きさ、高さの制限が決まっています。
無秩序な開発を防ぐための仕組みですが、結果として土地の使い道が制限され、それが値段に直結します。
13種類は、大きく3つのグループに分かれます。
住居系(8種類)
| 用途地域 | 特徴 |
|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | もっとも制限が厳しい。低層の戸建て中心。店舗はほぼ不可 |
| 第二種低層住居専用地域 | 一低層+小規模な店舗が可 |
| 第一種中高層住居専用地域 | マンションが建てられる。中規模の店舗も可 |
| 第二種中高層住居専用地域 | さらに店舗の規模が緩和される |
| 第一種住居地域 | 住宅中心だが、ホテルや事務所も可 |
| 第二種住居地域 | カラオケ店なども可 |
| 準住居地域 | 幹線道路沿い。自動車関連施設が建てられる |
| 田園住居地域 | 2018年に新設。農地と低層住宅の調和を図る |
商業系(2種類)
| 用途地域 | 特徴 |
|---|---|
| 近隣商業地域 | 周辺住民向けの店舗・事務所 |
| 商業地域 | 制限がもっとも緩い。繁華街・駅前 |
工業系(3種類)
| 用途地域 | 特徴 |
|---|---|
| 準工業地域 | 軽工業と住宅が混在。住宅も建てられる |
| 工業地域 | 工場中心。住宅は建てられるが学校・病院は不可 |
| 工業専用地域 | 住宅を建てられない |
価格にどう効くか
用途地域が価格を動かす経路は、主に2つです。
1. 建てられる量が違う。 用途地域ごとに建ぺい率・容積率の上限の範囲が決まっています。商業地域では容積率が数百%認められることもあり、同じ面積の土地に何倍もの床面積を建てられます。建てられる床が多いほど、土地から生み出せる収益が大きくなり、土地の値段も上がります。
第一種低層住居専用地域は容積率が低く抑えられているため、この意味では単価が上がりにくくなります。
2. 住環境が違う。 一方で、第一種低層住居専用地域は「静かで日当たりのいい住宅地」であることが制度的に保証されています。隣に高層マンションや商業ビルが建つ心配がありません。この安心感が、住宅地としての人気を支えます。
つまり用途地域は、収益性と住環境という別々の価値に、それぞれ逆方向に効きます。だから「商業地域だから高い」「低層住専だから安い」と単純には言えません。何を目的に買うかで評価が変わります。
気をつけること
工業専用地域には住宅を建てられません。 13種類のうち、住宅が建てられないのはここだけです。安い土地を見つけたときは、まず用途地域を確認してください。
工業地域には住宅を建てられますが、学校・病院・ホテルは建てられません。 周辺環境として工場が操業していることもあります。
1つの敷地が2つの用途地域にまたがることがあります。 この場合は面積の割合に応じて制限が計算されます。境界付近の土地では注意が必要です。
調べ方
用途地域は自治体が定めていて、各市区町村のウェブサイトで「都市計画図」として公開されています。「(市区町村名) 用途地域 マップ」で検索すると、たいていは地図で確認できるページが見つかります。
国土交通省の不動産情報ライブラリでも、地図上に用途地域を重ねて表示できます。
当サイトが使っている取引価格データにも、取引された土地の用途地域が記録されています。
まとめ
- 用途地域は13種類。何を建てられるか、どれだけ建てられるかを決めている
- 商業系ほど容積率が高く、収益性から土地の単価が上がりやすい
- 低層住居専用地域は容積率が低いが、住環境が制度的に守られる
- 工業専用地域には住宅を建てられない
土地の相場は各市区町村ページの「土地」タブで確認できます。